INSECT株式会社様
“隠す”から“見せる”への発想の転換ミスト設備と3Dプリンターの意外な関係
INSECT株式会社(読み:インセクト 以下、INSECT:https://biryushi.co.jp/company/)は、ミスト噴射器の販売・施工を行っている企業で、3Dプリンターを活用して噴射器の取り付け治具を製造しています。今回は、約20年にわたりミスト設備の分野で活躍している代表取締役の堀口氏にお話を伺いました。
INSECTについて教えてください。
堀口氏当社では、駅や公園などに設置されるミストシステムを提供しています。国内外の複数のメーカーから多くのノズルを取り扱っており、多様化するお客様のニーズに対応しています。また、最近では、これまで設置が難しかったスペースにも対応できる当社オリジナルのミスト噴射器の開発にも取り組んでいます。
INSECTの強みは何ですか?
堀口氏当社の強みは、他社に比べてミストノズルの取り扱いが圧倒的に多いことです。ノズルは噴射量(15cc~300cc/分)ごとに豊富なバリエーションを揃えていて、お客様の様々な問題に対して適切な解決策を提案できます。特に、世界最小の噴霧量(15cc/分)のノズルは、国内ではINSECTのみが取り扱っています。
実際に3Dプリンターで作った治具の使用感はいかがでしたか?
堀口氏良かった点は、取り付けがしやすくなり、耐久性も向上したことです。具体的には、以前は結束バンドで噴射システムのチューブをワイヤーに留めていましたが、ノズル部分が重く、チューブに負担がかかっていました。この問題を解決するために3Dプリンターで治具を作成した結果、チューブに負荷をかけることなくノズルを直接壁留めでき、施工性が大幅に改善されました。
また、3Dプリンター製の治具をあえて見せることで、「INSECTの施工」と一目で分かるようになった点も良かったです。実際に治具を見て問い合わせをいただいたこともあり、ブランドの認識向上にも効果がありました。
Phrozen (フローズン)3Dプリンターを採用された理由は何ですか?
堀口氏Phrozen 3Dプリンターを選んだ理由は、コストパフォーマンスの良さ、高い造形精度、そして設計データに対する忠実な再現性です。これまでは他社の小型SLA(光造形)プリンターを使用しており、造形自体は良好でしたが、一部のエリアで欠損が発生したり、樹脂がアルコール洗浄時に落ちにくい問題がありました。
一方、Phrozen社の3Dプリンターは、造形エリアの隅々までしっかりと造形でき、細かい文字もくっきりと再現できるため、非常に高い再現性を誇ります。また、本体の使い勝手も良く、後処理の時間が短縮できました。コスト面では、マテリアルの価格がこれまで使用していたSLAと比較して約1/3に抑えられ、金額的にも、最終部品としても使いやすくなりました。